
入庁したばかりの私は、本気で別の自治体を受け直そうと考えていました。
その気持ちを変えたのは、図書館で出会った二人の先輩でした。
最初の配属先は図書館。
しかも「新館設立準備担当」という、新しい図書館を立ち上げるための部署でした。
職員はわずか3人。
この二人との出会いが、私の公務員人生の出発点になります。
図書館学のエキスパート・係長
40代の女性で、大学では図書館学を専攻した、この分野のエキスパートでした。
そして、公務員でありながら、
全国規模で図書館問題を研究する組織の有力メンバーでもありました。
当時はまだ連絡手段が電話しかなく、
職場にかかってくる電話の多くがその組織からのもので、その取次ぎに四苦八苦したものでした。
メールもインターネットもない時代です。
明るく、頭脳明晰、気さくで真面目、
そして行動力がある女性でした。
ときどき「うわー!」とか「えぇ〜っ!」と突拍子もない声を上げ、周囲を驚かせるのが玉にキズ。
それでも――
私がこの自治体で勤め続ける決意を固めたきっかけは、間違いなく彼女です。
人は仕事ではなく、人によって職場を好きになることがある。
そんなことを初めて教えてくれた上司でした。
酒好きで組合活動家の先輩
20代後半の男性。
当時は組合活動も盛んな時代で、彼は労働組合の図書館部会長を務めていました。
そして、彼は組合活動をしながら、係長と同じ研究組織のメンバーでもありました。
無類の酒好きで、よく飲みに誘われました。
新図書館が開館すると、さらに酒好きが加わり、私は毎晩のような誘いから逃げ回ることになります。
この二人が私の公務員人生を変えた
私は法律学を専攻し、条例を扱う「文書係」を希望して区役所に入りました。
ところが配属は図書館でした。
落差に愕然とし、「来年は別の自治体を受けようか」と本気で迷いました。
けれど、係長と出会い、その明るさと誠実さに触れたことで考えが変わります。
「この自治体でやっていこう」
そう決意しました。
新しい図書館に夢を重ねながら、役所のお作法と仕事を学ぶ日々。
振り返れば、公務員人生の最初にこの二人と出会えたことは、私にとって大きな幸運でした。
仕事を教えてもらっただけではありません。
人は、仕事そのものだけでなく、そこで出会った人によって職場を好きになることがある。
私の43年間の公務員人生は、二人の先輩との出会いから始まりました。

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