
公務員は、子育てをしながら働きやすい職場なのでしょうか。
私は特別区の職員として43年間働いてきました。
私自身、公務員同士で結婚し、子育てを経験しています。
また、長い職員生活の中で、子育てをしながら働く多くの職員を見てきました。
その経験から感じているのは、役所には子育てをする職員を職場全体で支えようとする雰囲気があるということです。
今回は、産休や育休などの制度について詳しく説明するつもりはありません。
私が実際に働いて感じた、役所の子育てに対する考え方について書いてみたいと思います。
子育てをする職員を職場全体で支える
私が働いていた頃から、役所には子育て中の職員に対する理解がありました。
例えば、育児休業を取得した職員については、休業前の職場に籍を置き、復帰後も元の職場で働けるよう配慮されていました。
子育てを理由に仕事を辞めることなく、働き続けられるようにしようという考え方がありました。
そして、これは復帰した後も同じです。
小さな子どもは、突然熱を出すことがあります。
保育園から連絡が入り、急いで迎えに行かなければならないこともあります。
そんなとき、職員が「子どものことで……」と事情を話すと、
「ああ、そうなの。じゃあ、どうぞ」
という雰囲気がありました。
特別なことではなく、ごく自然なこととして受け止められていたのです。
担当者が休んでも、誰かが代わりを務める
例えば、ある職員が会議の進行を担当していたとします。
ところが、その日に子どもが病気になり、出勤できなくなってしまった。
そんな場合でも、会議を中止するわけにはいきません。
もちろん、その職員でなければ対応できない仕事もあります。
しかし、ほかの職員でも対応できるのであれば、代わりの職員が担当します。
場合によっては、係長などの管理監督職が代わりに会議の進行を務めることもありました。
私も、そうした場面を何度も見てきました。
仕事は誰かがカバーすればいい。子どものことは仕方がない。
そんな考え方が、職場に自然と根付いていたように思います。
「お互い様」という役所の雰囲気
これは、特定の上司が理解のある人だったからという話ではありません。
私が経験した範囲では、役所全体にそうした雰囲気がありました。
公務員同士で結婚する職員も少なくありません。
自分も子育てを経験していたり、同じような立場の職員が身近にいたりします。
だからこそ、
「困ったときはお互い様」
という気持ちが生まれやすいのかもしれません。
子育て中の職員だけが一方的に助けてもらうということでもありません。
周囲の職員も事情を理解し、それぞれができる範囲で仕事を補い合う。
私が見てきた職場では、そうしたバランスが比較的うまく取れていたと思います。
昔と今では、制度に対する考え方も違う
ただ、長く働いていると、少し変化を感じることもありました。
今の若い職員は、昔の職員よりも子育てに関する制度をよく知っているように思います。
育児休業だけでなく、勤務時間を短くする制度なども上手に利用しています。
それ自体は、とてもいいことです。
制度は利用するためにあるのですから、遠慮する必要はありません。
ただ、私たちの若い頃には、仕事を休むときに、
「すみません」
「ご迷惑をおかけします」
と、周囲に気を遣う雰囲気がありました。
最近は、制度を利用するのは当然の権利だという意識が強くなっているようにも感じます。
もちろん、それは間違っていません。
私も管理する立場として、制度を利用するのは職員の権利だと考えていました。
ただ、制度を利用することと、周囲へのちょっとした気遣いは別の話です。
昔のような「お互い様」という気持ちが、少し懐かしく感じられることもありました。
もっとも、これは私自身の世代的な感覚なのかもしれません。
子育てを考えるなら、公務員はいい選択肢
私は民間企業で働いた経験がありません。
ですから、民間企業と公務員のどちらが子育てをしやすいか、単純に比較することはできません。
また、同じ公務員でも、職場によって事情は違うでしょう。
それでも、43年間働いてきた経験から言えば、公務員は子育てをしながら働き続けやすい職場だと思っています。
それは、産休や育休などの制度が整っているからだけではありません。
子どものことで急に休まなければならなくなっても、周囲が理解し、仕事をカバーしようとする。
そんな職場の雰囲気があるからです。
これから結婚や出産、子育てを考えている方にとって、仕事と家庭を両立できるかどうかは大きな問題でしょう。
そうしたことを重視して就職先を考えるのであれば、公務員は十分に検討する価値のある仕事だと思います。
子育てに優しい職場とは、制度があるだけでなく、その制度を気兼ねなく利用できる職場なのだと思います。
私が43年間働いた役所には、そんな雰囲気がありました。
子育てのしやすさも、公務員として働くメリットの一つです。
では、43年間働いて感じた、公務員のメリットとデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
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