コンピュータ導入問題

私が図書館に配属された当時(1982年)は、図書館はコンピュータ導入で揺れていました。

図書館当局がコンピュータ導入を提案し、労働組合が反対の論陣を張っていました。

役所に入ったばかりの私には何が問題なのか、さっぱり分かりませんでした。

まず、コンピュータを導入をする前と後の事務の変化を見ていきましょう。

貸出方法~コンピュータ導入前

貸し出すためのグッズ

貸出券

本を借りるために、貸出券を貸出限度の枚数分を発行してもらう必要がありました、

貸出券は4㎝四方の正方形で、上側と右側が開かれた袋状です。

表面には、利用者の名前・登録番号・有効期限などが記入されていました。

ブックカード、ブックポケット

本の裏表紙にはブックポケットが張り付けられており、そこにはブックカードが挟まれていました。

ブックカードには書名・著者名・受入番号などが書かれています。

本の貸出時には、利用者が出した袋状の貸出券に、ブックカードを入れて図書館側が保管するという方法です。

返却期限票

本に貼り付けられており、本の貸出時に、返却期限表に返却期日を押印して貸し出しをします。

貸出方法(ブラウン方式)

①利用者は、本と同じ数の貸出券を受付に提出します。

②受付では、本の裏表紙からブックカードを取り出し、貸出券にブックカードを挟み込んで、貸出券を保管します。

③受付では返却期限表に返却期限を押印して、本を貸し出します。

貸出方法~コンピュータ導入後

貸し出すためのグッズ

貸出券

バーコードが貼ってある貸出券です。

貸出方法

①利用者は、本と貸出券を受付に提出します。

②受付では、貸出券のバーコードをスキャンして、その後、本に貼り付けてあるバーコードをスキャンします。

なぜ彼らは導入に反対したのか

今では当たり前になったコンピュータの存在です。

当時は図書館業務のほとんどをマンパワーで行っており、牧歌的な時代でした。

事務の軽減化

コンピューターを導入すれば、事務の軽減になるのは目に見えてします。

事務の軽減化が図られれば、人員削減が問題になるのは見えていました。

労働組合は「コンピュータを導入すれば、受付も機械的になる」という訳の分からない理由で反対しました。

裏側には、事務ができない者を救うという真の理由があるのは明白でした。

私は当時、コンピュータ化を進める担当であったため、コンピュータが分からない者のために研修会を何度も開催しました。

でも、理解する気もなく、ただただ「分からないから反対」と言っている者には無駄な研修となってしまいました。

一番理解していたのは労働組合反主流派

そんな中、コンピュータや長所・短所を一番理解していたのは、労働組合反主流派です。

中国共産党の人民の星派です。

彼らは頭が良かった。

後に多くの人が、副区長や部長、課長になっていきました。

彼らはすべてを知っているため、組合員の心をつかむのがうまかった。

世の中は、コンピュータを使った事務の効率化に向かって大きな流れがあります。

大きな流れをつかむのもうまかったため、組合員を「コンピュータ導入やむなし」の方向に向けてくれました。

図書館のコンピュータ化にも歴史がある

今はスーパーやコンビニでも当たり前に使われているコンピュータですが、当時は今まで話してきた歴史があります。

区役所当局と労働組合。

当時の大きな勢力でした。

図書館には、そんな歴史もあるのです。

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