
当時の図書館は、思想のワンダーランドでした。
労働組合
労働組合は共産主義の支配するところ。
コミンテルンのアジトです。
赤い腕章をつけ、赤いハチマキをする。
ストライキの時には、赤一色のいで立ちでシュプレッヒコールをあげる。
そんな光景を何度、目にしたことでしょう。
主流派
労働組合の幹部は、日本共産党と繋がっていました。
日本共産党が機関誌「赤旗」で主張すれば、同じ主張をする。
当時はまだ、日本共産党は革命を叫んでいた時期です。
でも、組合自体は、日米安保条約締結時のような躍動的な主張は少なく、かなり穏健な主張になっていました。
今の自由民主党が与党になって久しくなり、国民のために政治をするというより、議員自身の保身のために政治をするようになったのと同じかもしれません。
主流派というものは、そういうものかもしれません。
民主主義と自由主義は厳密には両立しませんが、彼らは両立すると心の底から信じ切っていた人たちです。
彼らは役職を否定はしませんでしたが、彼らの中から管理職になった者を見たことがありません。
中国共産党:人民の星派
当然ながら、反主流派も存在しました。
人民の星派です。
彼らは組織の歯車になることを極力嫌い、役職につくことを嫌がりました。
しかし、組合員の意見を吸い上げることには熱心で、ことあるごとに集まりを持ちたがりました。
資本論に忠実な人たちだったのかもしれません。
彼らはよく勉強をしていました。頭がよかったのだと思います。
彼らの中には後に管理職になるものも多く、部長や副区長になるものも多くいました。
その他:武闘派
当時の公務員には、成田闘争に参加した者も多くいました。
思想的にはさまざまですが、放言癖のある人が多かったように思います。
酒を飲むと面白かったのが、彼らです。
自由主義者
自由を享受していた日本においては一番多い人たちです。
今にして思えば、日本はアメリカの属国で、アメリカの言いなりになっていましたが、自由民主党支持者で一般の人たちです。
主義主張がないので、何も考えずに親方日の丸をむさぼっていた人たちです。
飲み会
当時の飲み会では、そんな人たちが集い集まり、主義主張を肴に酒を酌み交わしました。
それが当たり前の時代です。
今の時代とは時代背景も違うので、今からみると青臭い議論だったかもしれません。
しらふのうちは主義主張もはっきりしていますが、酔いがまわると混乱してしまい、しっちゃかめっちゃかになってしまったものです。
なかには興奮してしまい、「表へ出ろ!」という大立ち回りをするような者もいたようです。
それはそれで面白い時代でした。
準備室では?
準備室の3名の職員のうちふたりは共産主義者でした。
労働組合の主流派です。
係長としみちゃんが、そうでした。
私はバリバリの反共主義で、完全な親米派でした。
親米が良いことだと信じ込んでいた自分に、今ではかなり反省しています。
新図書館では?
新しい図書館では10名ちょっとの職員のうちのほとんどが主流派でした。
でも、人民の星派が1名、武闘派が1名、プチ人民の星派が1名いました。
今の役所では思想に染まっている人間が集まるなんてあまりないことですから、おもしろい時代を過ごしてきたと思います。
本当になつかしい時代です。
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