旅先でも抜けない「職業病」

選挙管理委員会の事務局にいた頃の癖というのは、恐ろしいもので。

退職してしばらく経った今でも、街を歩けば掲示板の設置場所や、電柱の陰に貼られた政治活動用ポスターに、つい目が吸い寄せられてしまいます。

先日、骨休めに旅行へ出かけた時のことです。

名勝地を巡り、美味しい地酒でも楽しもうと思っていたはずなのに、
駅前の路地裏で「おや、これは事前運動にならないか?」などと、掲示の適正さを無意識にチェックしている自分がいました。

ポスターの角が少し剥がれていれば、「あぁ、雨風にさらされて大変だな」と、現役時代のパトロールの記憶が蘇ります。

地元の選管の方々が、この広大な地域をどう管理しているのか、そんな余計な心配までしてしまう。

かつては日曜開庁や投開票の準備で、世間が休みの時ほど忙しく働いていました。

冷暖房の効いた執務室で書類と向き合う時間も長かったですが、
あの頃のピリッとした緊張感は、体に深く染み込んでいるようです。

今はマンションの清掃員として、住人の方々が心地よく過ごせるよう共用部を磨く日々。

そこでもやはり、掲示物の傾き一つが気になってしまうのは、公務員時代に培われた「几帳面さ」の副産物かもしれません。

旅先くらい、もっと空の青さや風の匂いに集中すればいいものを。

「かもめ」のように自由に飛び回る心を持ちたいと思いながらも、
今日もまた、街角のポスターに視線を奪われて苦笑いしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました