私は元公務員の清掃員です。
清掃という仕事を始めて1年8か月経とうとしています。
この清掃という仕事を始めた時に、マンションに住んでいるおばあさん(80歳くらい)から、よく話しかけられていました。

この仕事、長いの?
清掃をしていると、ふと現れて、私に声をかけてきます。
ある日、「お兄さん、この仕事、長いの?」と問いかけてきました。
私は元公務員ですが、あまり話したくなくて「まだ始めたばかりなんですけど、会社員をしていたんですよ」とうやむやに答えておきました。
すると、私の名札を見て、「ふぅ~ん。〇〇さんっていうんだぁ」とつぶやいて、マンション内に戻っていきました。
そんなに一生懸命に掃除しなくていいよ
ある日、彼女はひなたぼっこをしながら、私の清掃作業を見ています。
私は「邪魔だなぁ」と思いながら、マンションの外構を掃除していました。
すると、彼女。
「お兄さん。ここはそんなに一生懸命に掃除しなくていいよ。」
私は、「仕事ですから、やらざるを得ないんですよ。」と答えて、決められた仕事を続けました。
カギを持たずに外に出る
私が清掃しているマンションはオートロックです。
カギを持たずに外に出ると、カギ無しではマンションに入ることができなくなります。
彼女はカギを持たずに外に出て、私に助けを求めることもしばしばでした。
私がいる時は対応しますが、私がいるのは8:00~10:00。
それ以外は戻れないんじゃないかと危惧していました。
お世話係の人
そんな時、彼女のもとに朝、特定の女性が立ち寄るのを発見しました。
ある時、思い立って話しかけてみることにしました。
「おばあさんを面倒見ている方ですか?
おばあさん、時々、カギを持たずに外に出るから戻れなくなって、いつも心配しています。」
話を聞くと、お世話をしている人は彼女の親戚で、近くに住んでいるので様子を見にきているとのこと。
するとその親戚の人から衝撃の事実が!
「あの人はボケているんですよ。
今までも外に出て戻れなくなって、近くの食堂で無銭飲食したことがあるんですよ」
彼女は認知症だったのです。
きちんと掃除してて良かった
私に話しかけてきた彼女の様子からは気がつきませんでした。
でも、今はホッとしています。
彼女の「そんなに一生懸命に掃除しなくていいよ」という言葉を聞かなくて良かった。
そんなに大変な掃除ではありませんが、私はやさしさと勘違いしていました。
普通の人だと思っていたら、認知症の人との会話だった。
小さな衝撃でもありました。
今の彼女は「靴がなければ外に出ない」ということを親戚の人が発見して、もう外に出てくることはなくなりました。
月曜と火曜にケアービスがあるため、月と火曜には親戚の人が靴を持って訪れてきます。
時々、ケアサービスに出かける彼女と顔を合わせますが、彼女はニヤッと笑って「おはようございます」と声をかけてくれます。
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