
区役所には様々な部署があります。
区役所の裏側って意外と知られていません。
窓口でお世話になることはあっても、実際にどの部署が“力を持っている”のか?までは考えないですよね。
今回は、特別区(東京23区)の部署の軽重をわかりやすく解説していきます。
なぜ「軽重」が生まれるのか?
区の施策立案や予算・人事などを扱う部署は失敗が許されないため、優秀な人材が配置されており、重きを置かれています。
すべての部署でも失敗が許されないことは変わりありませんが、大人数で対応できる税部門・国民健康保険部門・生活保護部門などは個々の失敗を全体でカバーできるようになっています。
また、文化部門・スポーツ部門は法律で規定されているものではないため、比較的融通が利く半面、軽くみられる傾向にあります。
重い部署(区の中で力が強い)
企画・総務・人事系
区役所の中では「官房系」と呼ばれ、優秀な人材が配置されます。
「官房系」に配置された職員は、その後は配属された各部署の中心的な役割を担っていくことが多いです。
また、管理職になる者も多いです。
・企画部門では区行政の方針を決めたり、全体調整を行います。
・予算部門では毎年、夏から各部署から予算要求を受け、予算査定をして予算を決めていきます。予算に関することですので、どの部署も頭が上がりません。
・人事部門は各部署への人事配置(新規配置・補充)を担当します。また、職員への福利厚生や研修なども担当し、職員の資質向上を担当しています。
・総務部門は区長の秘書的なことを担当したり、文書に係わることや訴訟なども担当します。
会計管理部門
区の会計事務をつかさどる機関として、業者への支払い・歳入、現金や有価証券等の出納・保管、支出負担行為の確認、決算の調製、会計事務の企画・指導・検査などを行っています。
また、公金の管理・運用、各部署への用品の供給事務等も行っています。
行政委員会
仕事の性質上、「首長の業務としない方がよいもの」や「政治的に中立性を図る必要があるもの」を設けています。
監査委員会事務局
監査委員は、区長からの独立性が確保され、区の財務事務や経営に係る事業の管理、事務の執行などを監査する権限を有しています。
いわゆる、行政の会計面と事業面からのお目付け役ともされる存在です。
年に1度、すべての部署への監査を行い、不具合点を指摘して是正させることができます。
これが「監査委員」で、実務的に支えていくのが「監査委員事務局」です。
選挙管理委員会事務局
選挙を公平・的確に行うことを使命としています。
区民からの問い合わせで、取り締まり権限があると勘違いされている場合がありますが、取り締まり権限は警察が持っており、選挙管理委員は選挙の公正な執行を担当しています。
選挙管理委員が選挙管理委員会を構成しており、選挙の執行は委員会で議決されていきます。
選挙管理委員会を支えるのが「選挙管理委員会事務局」です。
中くらいの部署
福祉・保健系(福祉課、子育て、保健所など)
少子高齢化で区民ニーズは急上昇。介護、生活保護、子育て支援、障害福祉など…予算も職員数も圧倒的に大きい部門です。
→ 足立区、葛飾区など高齢者比率の高い区ではまさに「区政の中心」です。
税務系
区民税や軽自動車税を扱う税務課は、いわば区の“財布の番人”です。
区民サービス系(戸籍、国保、年金窓口など)
毎日長蛇の列ができる住民票・戸籍・国保の窓口。区民から直接声が飛んでくるため、政治的にも影響力大です。
教育委員会
区立小中学校は区の管轄なので予算規模は大きいですが、教育委員会制度により区長部局からはやや独立。力はあるけど政治色は薄めです。
地域振興・産業・観光
中央区や台東区、港区など観光資源を持つ区では「花形」になりますが、住宅地中心の区では相対的に地味。
軽い部署
土木・建設系
市役所だと花形の「土木部門」ですが、特別区では都が権限を握っているため、区レベルでは生活道路や小公園程度。
「え、区に頼んでも無理なの?」と思うケースが多いのはこのためです。
文化・スポーツ
「財政難のときに真っ先に削られる部署」として有名。区によって温度差が大きい分野です。
国際交流・多文化共生
外国人住民が多い新宿区や江東区では重視されつつありますが、担当職員は1〜2人なんてことも。
区によって違う「部署の重さ」
- 足立・葛飾など下町系の区 → 高齢者福祉・生活保護が重厚
- 港・中央・台東など観光や企業の集積地 → 産業・観光振興がぐっと重くなる
- 新宿・江東など外国人居住者の多い区 → 国際交流や多文化共生が相対的に強化される
まとめ
特別区の部署の軽重をざっくりまとめると…
- 重いのは「企画・総務・人事・会計管理・行政委員会(教育委員会除く)」
- 中くらいは「教育・産業・税務・区民サービス・教育委員会」
- 軽いのは「土木・文化・交流」(ただし区の特色で変動)
区役所というと「どこも同じ」なイメージですが、実際は区ごとの課題や住民構成で部署の重さが大きく変わります。
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